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10 月
10

斜め向かいのベッドのおじいちゃん


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Sさんが今日めでたく退院した。

Sさんは85歳、戦時中に水戸で通信兵をしていた頃の技術をいかし

戦後東京に戻ってからはラジオの修理などをしていたらしい。

ちなみにこちらのおじいちゃんは

入れ歯の具合が気になるのか

食後に良く

ちゅっちゅっちゅっちゅっ

やっていたので

ある日タイムを計測してみると

15分くらい

ちゅっちゅっちゅっちゅっ

やっていた(汗)

話を戻そう。

俺の祖父はすでに亡くなっているが

生前祖父から戦時中の話を聞くのが好きだった。

今日退院されたSおじいちゃんは

戦時中や戦後の

俺の知らない日本の話をたくさんしてくれた。

最後におじいちゃんはミネラルウォーターをくれて

娘さんと共に退院していった。

俺は病院の出口まで見送り

お礼を言って

手を握り

Sさんとお別れした。

今現在、周囲に戦時中の事を知る方がいる人達へ

俺は声を大にして言いたい。

激動の日本を駆け抜けてきた人生の大先輩達の声に耳を傾ける事を強くオススメする。

強く純粋な日本があった事を思い出させてくれるだろう。

おそらく夕食後のちゅっちゅっタイムを終えたSさん

今頃口をぱっかー、開いて眠っている頃だろうか。

どんなに悲しい話をしてくれても、最後にワハハハハーって笑うSさんの話を聞くのが楽しかった、好きだった。

ありがとうございました、Sさん。

どうかいつまでもお元気で!!

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